今回は、重心移動についてです。
動作分析や姿勢分析で『前重心、後ろ重心』や『重心移動』など、重心についていろいろことが言われています。
また、競技の現場では、『重心を低くしろ』とか『重心移動を速くしろ』など、重心の位置や移動についての指導が行われます。
重心移動は競技力を向上させるためにはとても重要なのですが、重心を移動すると一言で言っても、実際に重心を最適な方向に移動させて体を動かすというのはかなり難しいことです。
例えば、倒れ込むようにして重心を移動させても動くことができますが、重心をきちんと動かすことで体が動くのとは大きな違いで、全く別物の動きになります!!
重心移動は一部分(重心自体)を動かすことですが、ほとんどの場合は体ごと動かすことでしか重心を動かせません。
(ちなみに、以前ボクは体ごと動くことを体重移動と表現しましたが、体重は増える減るはあっても、移動するというのはおかしいので不適切な表現でした・・・。)
全身を一度に動かすことで重心を移動させると倒れ込む動きになりバランスを崩してしまいます。
この違いを感覚でつかまないといけませんが、非常に難しいことです。
走り出すときや素早く体を移動させる際、全身を一度に動かすには地面を蹴って反力を利用しなくてはならなくなります。
反力を利用することはあまり良いことではないので極力避ける必要がありますが、蹴る以外に移動させる方法が無ければ蹴らざるをえません。
また、重心を移動させられない人が地面を蹴らずに重心移動をしようとすると、全く足を動かさずに結局は倒れこむようにして動くことになります。
重心をきちんと移動させられない人のほとんどが背筋を緊張させて立っていますが、これが重心を上手く移動できない要因なのではないかと考えられます。
もともとの重心の位置が悪くて背筋を緊張させていないと立っていられないのか、背筋を緊張させて立つクセがついてしまっているかは分かりませんが、背筋の過緊張によって背骨が固定されて一本の棒のようになってしまっています。
(ウエイトトレーニングでも背骨を一本の棒として使う、スクワットやデッドリフトは背筋を力ませるクセがつきやすいので注意が必要です。)
背骨を固めてしまうと重心を把握することが困難になります。重心を把握できていなければ重心を動かすことは出来ません。
また、背骨が動くかどうかも重心を動かすポイントですので、背骨は固めず出来るだけ緩めて余分な力が入っていないようにしなければなりません!
そのためには、上半身(重り)を骨盤の上に乗せ、そして、背骨の上にしっかりと頭を乗せる感覚をつかむことが重要です。
特に頭の乗っかり方は、背骨を緩め重心を把握出来るかどうかに大きく影響します。