パーソナルトレーナー 布瀬川 謙介の
ランクアップ身体論

2022.01.26更新

こんにちは、布瀬川です。

 

さて今回は理想的な姿勢について専門書を参考に書いていこうと思います。

 

以前にも書きましたが、今のところ「理想的な良い姿勢はこうです」という統一された定義はありません。

そこで、【 基礎運動学 ~第6版~ 】に記されている「良い姿勢」、「悪い姿勢」の判断基準を紹介します。

 

まず「良姿勢、不良姿勢を判断する基準は、どのような視点で見るかによって異なる」とあります。

① 力学的視点(重心線と支持基底面との関係)

② 生理学的視点(疲労しにくい姿勢)

③ 作業能率的視点(作業能率が良い)

④ 心理学的視点(心理的に安定している)

⑤ 美学的視点(美的に見て美しい)

 

この①~⑤の視点から見た基準を満たした姿勢が、いわゆる「良い姿勢」といえます。

 

①について、

「静止姿勢では、頭部、体幹および四肢の各体節の重心を統合した重心線が支持基底面の中に位置していること、その位置が支持基底の中心に近いほど安定性はよい、辺縁になるほど、重力による回転トルクが生じやすくなり、バランスを維持するための筋活動や靱帯の緊張が必要になる。」とのことです。

 

重心線が体を支える面(立っている場合は足の裏)の中心に近いほど安定性があり、端に近づくほど安定を失いやすくなるということですね。

よく重心はつま先に置くのか、かかとに置くのかと聞かれますが、立って静止する場合は土踏まずあたりで体重を支えることが安定した姿勢の維持に繋がります。

 

②について、

「同じ姿勢を長時間にわたって保持すると、筋の血液循環量が低下して、筋疲労が生じる。わずかずつであっても、姿勢を変化させることが筋疲労の軽減に有効である。過緊張による筋の強い収縮も、血液循環の停滞を起こす。なお、循環器、呼吸器、消火器、泌尿器などの内臓器官に過剰な圧迫や負担が加わらない状態であって、正常に機能する姿勢がよい。」とあります。

 

 丸まったまま、腰をそったままなど崩れた姿勢で固まっていると、部分的に負担が集中したり内臓に負担をかけてしまいいろんな不具合がでるということです。

頭では楽だと感じていても体的にはしんどいというのが常態化すると後々大変なことになるわけです。

 

③について、

「作業姿勢は、作業を遂行しているときの身体各部の相対的な位置関係および空間を占めている位置である。姿勢は静的であるが、作業能率をみるときには、同時に動的要素も考慮しなければならない。」とのことです。

 

動作中に体の負担が少なく効率よく作業するためには、その都度その動作にあった姿勢を取らなければいけませんが、これがなかなか簡単にはいきません。

作業能力をよくするためには、自分の身体をコントロールする能力、状態を把握する習慣が必要で、まさに体玄塾で学んでほしいところでもあります。

 

④について、

 「姿勢は、骨格の構造や神経系の働きだけで定まるのではなく、個人のパーソナリティや情動の影響を強く受けて、その時々の心理状態を反映する。」と説明されています。

 

ここは盲点になりやすいと感じていますが、楽しいことや好きなことに向かうときと、嫌だと感じることをするときでは姿勢にも変化が出ます。

落ち込んでいるとき、悩み事があるときも姿勢は崩れがちになります。

もちろんイライラしているとき、気持ちが高ぶり過ぎているときも良いとは言えない姿勢になっているはずです。

日々の生活の中で、出来るだけ平穏を保つことも理想的な姿勢のためにはとても重要です。

 

⑤について、

「人間の姿勢や運動の美しさを論ずるときの判定基準は、客観的計測だけでなく芸術的視野からも検討される。人間の運動の形式美を構成する要素として、つり合い、均整、プロポーション、律動、躍動感などがある。」と記されています。

 

やっぱり見た目はとても大事ですよね。

専門的に均整がとれているとか、動きが洗礼されているかなどを見ることも大事なのでしょうが、人それぞれの美的感覚も無視できません。

基本的には自分の理想の姿勢を保てるようにすればいいと思います。

ただ、これまで見てきたものや経験してきたことから、こうありたいという身体的イメージができていて。それが体にとってマイナスになる記憶だと理想的な姿勢に変えることができません。

体にとって良い姿勢を維持するためには正しいイメージを持つこともとても大切です。

 

このように姿勢を改善するためにはいろんな視点からアプローチすることが必要です。

まず体玄塾でしっかりと「理想的な姿勢」を学んでいただければと思います。

 

布瀬川

 

 

投稿者: 体玄塾 布瀬川 謙介

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