スポーツやダンスのパフォーマンスを向上させるために選手の動きを分析するとき、特定の筋肉の強さや関節の可動域ばかりに目がいってしまうことがよくあります。
『あの選手は体幹(コア)の筋力が弱いから、切り返しのとき体がフラついてしまう。
体幹(コア)の筋力を鍛えれば急角度でのボディーターンでも体幹が安定してフラつかなくなる。』
『あの選手は股関節が使えないからいい動きが出来ない!股関節が使えないのは関節可動域が狭いせいだ。
股関節のストレッチやドリルで可動域を広げればしっかり使えるようになり、いい動きが出来る。』
etc.
と、このような話になってしまいます。
ですが、選手の動きが悪いのは筋力が弱いとか関節可動域が狭いというのが一番の原因ではありません。
確かに自分の体をコントロール出来ないとか、その競技動作をしっかり行えないぐらい筋力が弱かったり関節可動域が狭ければ、筋力を強くしたり関節可動域を広げることで動きを少なからず改善出来るかもしれませんが。。。。。
競技動作に使われる筋肉を強くすればするほど、あるいは関節可動域を広げれば広げるほどパフォーマンスが良くなる訳ではありません。
それどころか、筋肉に強い負荷をかけ過ぎると(ウエイトトレーニングで高重量を扱い過ぎると)、動き始めから、終わりまで力を入れる癖がつき、パフォーマンスは高まるどころか、むしろ低くなります!
止まった状態から体を動かすときには大抵は筋力を使います。
ですが、いったん動き出してしまえば、それ以降は動き出すことで発生させたエネルギー(惰性)を利用して動くべきで、これが出来ないと速く動けないし疲れやすくなります。
ウエイトトレーニングを行う時のように、動作の最初から終わりまで筋肉を収縮させていると、前の動作、または始動で発生したエネルギーを利用して動けなくなり、パフォーマンスが低くなりますので注意が必要です。