木を見て森を見ず
1980年代後半、日本に上陸したてのエアロビ(エアロビクス)の代表的エクササイズがこれ、レッグスと呼ばれていた中殿筋(お尻サイドの筋肉)のトレーニングです。つまり美脚エクササイズだったのです。レマンという日本にエアロビクスを持ち込んだとされる、当時有名だったエアロビクススタジオで、私はいつもこのレッグス美脚エクササイズに悩まされていました。
今とちがってスタジオはバリバリの女性でいっぱい、男は、九州男児で少林寺拳法四段の私ひとり。
目立っていましたよ!おなごどもは全員最後までレッグスが出来て、この男は途中までしかれできなかったのですから(^^ゞ 「なさけなかー」と思っていました。
なぜ女性たちは中殿筋が私より強かったのでしょうか?
その答えは、レッグス(中殿筋トレーニング)で中殿筋をあまり使っていなかったからです。
中殿筋トレーニングで中殿筋を使わない?ん・ん?
これを代償動作と言いまして、中殿筋に代わって違う筋肉で同じ様な動作、このレッグスでは脚を上げる、つまり上側の股を開く動作をすることです。
では、どこが代償したのか。
写真の赤色の線で示したところを注目して下さい。先ず、太い線で示しましたように、背骨を曲げて脚を上げています。次、細い線2本で示しましたように、上側の(左側の)骨盤と肋骨を近づけています。
この二つの動作は誰でもできるやり易い動作です。しかも動員される筋群も多く、楽に出来ます。
女性たちが過酷なレッグスを最後までやり抜けたのはそういうわけがあったのです。そして私は中殿筋にヒットさせて、すぐに限界へ達していたわけです。
美容面では美脚やヒップアップを目的に、このトレーニングを取り入れているインストラクターやパーソナルトレーナーが多いと思いますが、正しく中殿筋にヒットしなければ逆効果です。
リハビリでも片脚で支持するための重要な筋肉としてこの中殿筋を同じ様な方法で理学療法士の方がトレーニングさせていますが、なかなかヒットできないのが現実です。
中殿筋にヒットさせるには体幹をぐらつかせないことです。上の写真の背骨のラインを真っ直ぐに、骨盤と肋骨のラインを平行にし、なおかつ二本のラインを引き離すようにしてやることです。
このことを知ることも大切ですが、そうさせたくてもなかなかできないし、指導できません。
また、体幹をぐらつかせないで出来る人には、このトレーニングは必要ないのです。
中殿筋が「木」で、からだ全体が「森」ですので、中殿筋トレーニングはからだ全体との絡みがわかっていなければ成り立ちません。
ですから、美脚エクササイズやトレーニングのたぐいは、動きの達人をつくるぐらいとてもとてもむずかしいのです。
体玄塾には誰でもできる手順があります。同業者や整形外科医の方も習いにきていますのでどうぞお気軽にきてください。